■マコの傷跡■

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chapter 11



~ chapter 11 “相手のこと” ~




母の相手に会った事は何度かある。
家族には内緒で会わせてもらった。
どんなやつなんだろうという単純な興味からだったが
私が会ってみたいと言ったのを聞いて男は喜んだらしい。
“なんで喜ぶんだよ。バカじゃねぇの?”

母が45歳の時で相手は35歳。10歳も年下だった。
高校の教師をしているらしく、結婚もしていて娘も居ると言っていた。
“高校の教師のくせして、よく高校生の娘の居る相手とどうこう出来るね”
私は思いっきり軽蔑していた。

その人は私に会うと必ず「すみません」と何度も言った。
すみません、すみません、すみません・・・・。うざってぇ男。
自分より何歳も年下の小娘に何度も頭を下げる男が嫌いだった。
“わりぃと思うならすんじゃねーよ”
“私に謝られたって何も変わんねーんだよ”
何度も謝られるとその言葉がものすごく軽くなって、
口先ばっかりの情けないヤツ、と思った。
母は、こんなヤツの何がいいっていうんだろう?
どこに魅力を感じているのかサッパリわからなかった。
気持ち悪い男。

母も男と一緒に居るとなんだか嬉しそうに見えた。
“どうでもいいや。それで幸せなら勝手にすれば?”

さんざん引き止めた父を振り切って、母は家を出て行った。


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